私の家には、執事さんがいます。
家といっても現実の家では
なくゲーム中の家の話で、
執事さんはそのお名前を「ジャン」氏といいます。
大航海時代オンラインでは「アパルタメント」という名前の
自分だけの家……というか部屋を、出身国にひとつ持てるのですが、
ジャン氏はその部屋を私の代わりに守ってくれています。
そう、私が執事を雇っているのです。
今日もガレーさんに拿捕されそうになったヘタレ冒険者の私が。
アパルタメントを何とか手に入れたところで、家具すら置けないぺーぺーのわ・た・し・が!
↑どーん! 北海様式のアパルタメントの室内。
他にもいろんな様式があるようです。
何にも家具を置いていないのでどーんというより、がらーんとしています。
ジャン氏がなにゆえお暇を申し出ないのかはさておき、
彼とのなれそめをちょっと聞いてください。
[2回]
その出会いは運命的、というより、多分に偶然的でした。
マルセイユの街角で、いつものように冒険者用の依頼を仲介してくれるおじさんに、
「なんか、面白い考古学の依頼ない?」と尋ねたところ、
ボーナスクエストの印がついた依頼を紹介されたのです。
「ボーナスクエスト」というのは、依頼の内容は通常と同じなんだけど、
報酬でもらえるお金が少しだけ増額されているお得なクエスト。
1日に1回だけ受けることができて、その日のうちにクリアすることで
増額された報酬を受け取ることができます。
しかし。だがしかーし!!
その時おじさんが「ほい」と提示した依頼の報酬額は、なんとたったの500D!!
500k(50万D)でも500M(5億D)でもありません。
何度見ても500D!!
ニワトリ1羽を交易所で買うと40~60D、オリーブ1樽なら200~300D(だったはず)。
↑ある日の取引の図。
マンボウさんは釣りで釣ったので仕入れ値ゼロの上にお高い値段がついていますが、
それ以外を見て頂けると、原料と加工品の相場がお分かり頂けると思います。
依頼報酬の相場は、難易度や必要スキル、クリアに必要な移動距離で様々ですが、
提示された依頼の難易度的には、8k(8千D)以上15k(1万5千D)以下ぐらいでしょうか。
それがたったの500D!
おいおい、馬鹿言っちゃいけないよ。そんなんじゃ大航海時代の船は走らないんだぜ。
そもそもの話をすればだ、1日1回しか受けられない貴重なボーナスクエストとして、
子供の小遣いにもなんない依頼を提示するとは何事よ?
仲介人のおじさんを睨みましたが、おじさんは動じません。
NPCなのですから当然です。むしろ私のほうが動揺しています。
クエストの中身をよくよく読んでみれば、ある人物の世話をしてくれとのこと。
まさか……本当に子供? チルドレン? 遊び相手をしろってこと?
ああだこうだと想像を巡らせる間に、何だか面白くなってきました。
500Dの報酬に、必要なスキルはフランス語を話せること! 以上!
なんと、開き直ったお話でしょう!!
わかりました負けましたよ、と笑いながらクエストを受けると、
酒場のマスターに話を聞いてみてくれ、とのこと。
おじさんの背後に建っている酒場に「はい、了解!」と駆け込みます。
「マスター、なんか変な依頼を聞いてきたんだけど」
マスターはいつもの仏頂面かに見えて、
しかし、私の心のなせるわざでしょう、その額あたりに濃い影が落ちているように見えます。
曰く「知り合いの息子に、とんでもなく不幸な奴がいるんだよ」
……バツイチとかそういうお話?
「いやそれがね。バツどころか、バツがつく前に婚約者に逃げられてね。
海に出れば嵐に見舞われ、猫に遭えばかみつかれ、事業をすれば失敗しと、
とんっでもなく運が悪い奴なんだよ。ああ、性根はいいんだけどね」
そんなこと言われたって、この大航海時代に運の上がるオーパーツなんてないよ?
だって、ステータス欄見てもないもん。
「すてー……何だか知らないが、そういう頼みじゃないんだこれは。
ともかくそいつなんだがね、運び屋の仕事をやってるんだよ。
それがまあ、つい先日も乗っていた船が嵐で難破しちまってさァ。
運び屋の仕事をやめろっていうにも、大航海時代でニートはまずいだろ?」
うん。まずいと思うけど、話の雲行きのほうがまずいと思う。
ひっじょーに、ディッモールト嫌な予感がする。
「世界を股にかけるあんたを見込んでお願いする。
頼むから、あんたのとこでそいつを雇ってやってはくれないか。
……とはいえ、奴のせいであんたの船が難破しちまっちゃ大変だ。
アパルタメントの執事あたり、任せてみちゃァどうだ? ハッハッハッ!」
ハッハッハッハッハッ!
アパルタメント貯金をはたいて、初めて足を踏み入れたマイホーム……
もといマイアパルタメントに知らないおじーさんが立ってた時より笑えるね、マスター!
↑そのおじーさん。いえ、老執事。
いっそのこと、ユル・ブリンナーみたいにした方が潔いと思うんだ。
……どこを、とは言わないけれど。
ここまで来たら了承するしかないでしょう。
家はロンドンですから~とマスターに伝え、
半笑いになってる気がする仲介人のおじさんから500Dを頂きます。
500Dを握りしめ、ロンドンへ航路を取る私の脳裏をよぎるのは、
もちろん、不幸君の顔……の想像図。
きっと老執事よりも笑える人なんだろうなぁ。やっぱり、ビール腹?
さっきマルセイユで見た、道化師みたいな人が立ってたらどうしよう。
指さして笑おうか。それとも「アパルタメント決して開けるべからず」みたいな
家訓だけ残してアテネのあたりまで逃げちゃおうか。
さすがに恐る恐るアパルタメントをのぞいてみれば、いつもの老執事さんがお出迎え。
あれ? 新しい人に変わったんじゃないの?
どうやら、私が任命するまで執事は変わらない様子。そりゃそうか。
さっそく、噂のジャン氏を指名代の100k(10万D)に顔をしかめつつ呼び出します。
とりあえず、顔合わせと行こうかい。
「初めまして、ジャンと申します」
…………え?
「ですから、ジャンと申します」
え。あの、思ってたのとだいぶ違う……。
というかその服、雇い主の私より立派ですね。なんていうの、王子様スタイル? 提督系?
う~ん、イケメンだから得したんだろうか? でも、不幸なんだよね?
ガレーさんの大群に襲われるとか、サメに食われるとか、
そういう不幸を呼び込んだりはしないのかしら?
というか、アパルタメントに突っ込んでる装備や書類はこの人が管理するんだよね?
大丈夫? 書類の上に水をこぼして
「海事の転職状を、交易品の紙にしておきました、お嬢様」とか言わない?
最終的には不安しか残りませんでしたが、
そんなこんなでジャン氏は我が家にやってきました。
なーんにもないアパルタメントで、唯一キラキラしてるのでそのまま執事をお願いしてます。
時々彼の様子を見に行きますが、致命的な不幸も呼び込んでいないようです。
……今のところは。

レベル

冒険
30 交易27 戦闘15

今のスキル構成

操帆4 測量6 地理学2 生態調査2 釣り4 視認3 探索5
開錠3 考古学
5 宗教学3 生物学2 美術3 財宝鑑定3
観察1 投てき術3 罠2 会計3 酒類取引3 嗜好品取引3
繊維取引2 裁縫2 保管4 社交3 工芸5 剣術2 砲術3 修理3

(恐怖の)言語枠

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古代エジプト語
イタリア語(副官) ギリシャ語(副官) トルコ語(副官)
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